Kawasaki Z1が設計された際、エンジン整備の為ヘッドカバーの脱着がエンジンを搭載したまま横方向に抜く事が可能である様に仕様要求され、エンジン設計者とフレーム設計者との間でmm単位でのスペースの取り合いが繰り広げられたとの逸話が残っています。
キャブレターを外す事無く可能なのは本当ですが、実際に整備する際に横方向にカバーを抜き出すにはトップアイドラーフレームの干渉で割と手間ではあります。
この為弊社製作のトップアイドラーはエンジンのヘッドカバーを更に取外し易く出来る様、純正のアイドラーフレームより約1.8mm低く設計しました。
拡大するとわかりますが、回転するギア歯の先端がフレームに開けた逃がし穴を通過する構造で、フレームをプレスによって成型する都合上生じる公差を考えると、ぎりぎりのクリアランスになっている事がわかります。


KZ1000の純正アイドラーフレームも同様の構造にはなってはいますが、専用の精密金型を用意してプレスを行う事で、フレーム高を下げています。
組み立て時後にはクリアランスの全数チェックを行いますが、コンマmm台である事がわかりますでしょうか。

穴を前後方向に大きくすると強度が落ち、それを補うのにフレーム前後幅を増やすとカバーの抜き取りを邪魔する為、何度も試作を行って寸法を決定しました。
フレームにマイクロポリッシュを施しているのは、プレスによって生じる痕に振動等の応力集中を避ける為と、この最小のクリアランス部にカット時のバリが残らない様にする為でもあります。






