
バイクや自動車のエンジンについて、”負荷”と言う言葉を聞いた事のある人は多いと思います。
負荷とはエンジンの性能や耐久性だけでなく、燃費にも大きな影響を与える重要な要素です。又。エンジンの空燃比や点火時期を適切にセッティングする場合、エンジンにかかる「負荷」の大小の概念について理解する必要があります。
インジェクション化はもちろんスロットル開度センサーを用いた点火時期の制御セッティング等、以降それらを記事にする前にも負荷の話が欠かせませんので少し簡単に纏めておきます。

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・負荷とは何か?
エンジン負荷とは、エンジンがどれだけの力を必要としているかを表す概念です。
ちなみに単純に高回転で回っているから、もしくはスピードが高いからと、必ずしも負荷が大きいというわけでは無く、「エンジンが回転しようとするのを抑え込む為に外部からかかる力」となり、運転状況で負荷は大きく変わります。
最も分かり易い例として、自分が説明する際には自転車に乗っている状態をイメージしていただいています。
足に力を入れてペダルを漕がなければいけない状態は負荷が大きく、軽く力を入れてやるだけで前に進んでいける状態は負荷が小さいという事で、これがエンジンにも同じ事が言えます。
例えばそれなりに早いスピードで走っていても、適正なギアを選んで速度を上げる事も無く巡航している限りはそれ程強い力も必要ありません。ペダルを踏んで回している回転も割とゆっくりです。この状態では負荷はあってもそれ程大きいものではありません。
しかし、走行中に急激にスピードを上げるのにギアダウンせずに高いギアのまま加速しようとすると、サドルから腰を浮かしてペダルを踏みしめてもクランクは回りにくく非常に疲れるでしょう。この場合、スピードも回転数が低くても負荷は非常に大きい状態となります。
ここでギアを一つ下げてやるとペダルを早く回す必要はありますが、それ程力を使わずスピードは上がっていきます。ここでは僅かに負荷が下がった状態です。
そこである程度スピードが乗ったところでギアをアップ、更に出せる速度の限界迄ペダルを踏み込み続けている状態になったとしたら、最大限の高負荷状態と言う事になります。
又、停車状態から発進する際、動き出す瞬間こそが最も力が必要です。但し、低いギアであればそこからは比較的楽に漕ぎ始めることができます。この場合はペダルクランクの回転数は高めですがそれ程力を使う事も無く加速も出来ます。この場合最初に動き出す為に大きな負荷はあっても徐々に負荷は減りながらスピードに乗っていく事になります。
この様に、常に走行条件に応じてエンジンになったつもりで自分自身で走る為の力を出していると考えると、負荷の大小の状態が非常にイメージし易くなります。
ちなみに、点火時期の制御とエンジン負荷の関係については、10年程前に記事にした事があります。
ご興味があれば参照してみて下さい。
https://ameblo.jp/pams0805/entry-12536185967.html
PS:慣らし運転と負荷について
例えば新車やオーバーホールしたエンジンを慣らし運転する際には、上限回転数を決めて徐々に馴染みをつけて行くかと思います。
この為、なるべく回転を抑えて運転しようと考えがちなのですが、先の自転車の例を思い出していただければ、低い回転数の維持を優先するあまり高いギアに入れたままアクセルで加速しようとする状況を繰り返すのは非常に大きな負荷がかかってしまう事がわかります。
ならし運転の本来の目的はエンジンを楽な状態からスムーズに動作させながら少しずつ負荷を適切に増やし、各部の新品部品の馴染みを付ける事です。この間は最高回転数にのみ注意を向けるのではなく、適切なギアを選び”必要以上の高負荷状態”を避けることが重要です。