初夏の足音が聞こえて来るような天気も増えて来ましたが、
レースを含むサーキット走行等も頻繁に行われる時期でもありますので、ハードチューンに対応出来る様用意したレーシングテンショナーアームも出荷数が多くなりました。

https://pamswebshop.my-store.jp/shopdetail/000000000218/ct42/page1/recommend/
ちなみに、このレーシングテンショナー。通常ではカムチェーンの張りに柔軟性を持たせる為にゴムローラーを使用してある部分を金属製のアイドラーギアにする事で、サーキット走行の様な高負荷に耐え、急激なアクセルオフ時のバルブタイミングも正確にコントロールする事を目的として用意しているのですが、これをシリンダーブロックの後方から押して張り調整を行うカムチェーンテンショナーは必ずマニュアルロックタイプのものを指定しています。
以前にも記事にしていますが、エンジンを構成するケースやシリンダーブロック,ヘッドはアルミ製の為、暖機状態になると膨張差で内部のカムチェーンを張る様になります。
https://www.pams-japan.com/diary/?p=28148
ノーマルタイプのゴムローラーの場合はこの膨張差による張りを吸収できるのですが、金属ギアタイプのアイドラーの場合には冷間時にはあえて緩めに調整する必要があります。それが出来るのはマニュアルロック式のテンショナーのみである為です。
オートテンショナーを併用した場合、レーシングテンショナーアームでは本来冷間時に必要であるべき遊びが作れません。エンジンが暖まった時点ではギアがカムチェーンを張り過ぎてしまい、寿命を短くしてしまったりそれを繰り返す事で最悪破断の可能性が高まります。
熱膨張による力は非常に大きなものの為、強化カムチェーン(高耐荷重チェーン)と呼ばれるものでも対応出来るものでもありません。
余談ではありますが、マニュアルカムチェーンテンショナーを使用して締め込む事で、消耗して伸びきったカムチェーンを張って音を静かに出来るという、構造上正しくない情報がネット上にはあるというお話も聞きます。
ユーザーさんがそれらを鵜呑みにされて必要以上に締め込んで、テンショナーアームやカムチェーンを破損させてしまった例は幾度も見た経験があります。
レーシングテンショナーアームやマニュアルカムチェーンテンショナーは、必要に応じて正しく調整と使用の出来るメカニックにお任せしてご使用下さい。