インジェクションネタが続きますが、ダイナモ上と近場だけでMAPの設定が出来るわけも無く、例えば気圧補正値を採るには実際に気圧がきっちりと変化する所まで行く必要があります。
とは言え、営業日に行き帰りの間で丸一日使うわけにもいきませんので、休みの日に散歩がてら出向いたのは、関東圏の人であれば誰でも知ってる大観山。
生憎雨こそ降りませんでしたが、霧で殆ど景色は見えません。
ここでECUに内蔵された外気圧で出る数値に対してどの程度燃料の補正を行うか、実際にエンジンをかけて下界との空燃費差が小さくなる様に補正値を入力します。
ちなみに、キャブレターの場合、キャブのポート内を流れる空気の流速や圧力でガスを吸い上げてエンジンに供給する構造上、実は気圧が変化しても下界でのセッティングさえしっかりしてあれば、1000m位の高度でまともに走らない程の状態にはならないのですが、TPS開度をベースにしたEFIセッティングの場合は開度さえ同じなら同じ分だけインジェクターがガスを吹いてしまいますので、えらく露骨に変化が出ます。
一般的なイメージでは、EFI(電子式燃料噴射)は、暑かろうが寒かろうが、山にも行こうがいつでも変わらず絶好調というイメージがあると思いますが、それは各情況に応じた補正値が正しくセットアップされていての話です。
(逆にそれらのセットアップが正しければ、本当に時期や寒暖に場所も問わずに快調に走れます)
又、標高が高い=空気密度が低いので、燃調は濃くなる と言うのも、EFIの場合は必ずしもそうではなく、エンジンや排気系の仕様が大きく違うと気圧が低くなる事で外気からの排気抵抗が下がり、その分吸気系からは空気が余計に吸い込まれて補正をしなくとも空燃費は変わらなかったりむしろ薄くなったりする場合もあります。
これがわざわざ実地に出向いて補正値を確認する理由だったりします。
会社に戻ってECUの本体に記録されたログデータを確認しているところです。
回転数に空燃費、燃料、点火の実際の量や、マップの使用位置に各補正機能の補正量や、各部温度とスロットル開度やマニホールド負圧他のセンサーデータを含む数十項目のデータが毎秒100回のサンプリング回数で記録されています。
これを見ながら走行状態を確認し、更に補正値を決めていきます。
ここ迄書くと、インジェクションのセッティングって大ごと大変の様に見えますが、別にこれらを完全にやらなくともキャブレターの性能を凌駕する事は出来ます。
むしろ、キャブレターでは出来ない部分の補正や制御を行っているのですが、それが出来るのみならず、これらのセッティングを行うと目に見えて良くなっていくのがわかりますので、どんどん手を入れたくなるというのが理由です。
さて、インジェクションやっていて良く聞かれるのが燃費です。実際のところ燃料の無駄撃ちが少なくなる分、同じ使用環境だと確実に良くなります。
この日のマップセッティングは特に燃費重視のものでも無く加速増量機能も絞っていませんし、そこそこ開けながら走ったり、帰り道には半分下道、半分高速とは言えかなりの長さの渋滞に合いました。又、ギア比もツーリングであれば低い位です。(高速巡航中に、何度も6速オーバードライブギアが欲しくなりましたので)それを踏まえてですが、走行距離220kmで、消費ガスは11.6L 約19km/L でしたが、点火時期他をもう少し煮つめれば、軽く20km/Lは超えるでしょう。
特にパワーを殺すセッティングをしなくとも、ツーリング巡航で20数km/Lを出しているZ系エンジンインジェクション仕様車も実際にあります。
趣味のものですので、燃費の事をあれこれ言うべきでは無いという意見ももちろんですが、同じ性能を出すのに使う燃料が少ないに越した事はありませんし、環境を考えれば余計に燃料を燃やさずに済むのも良い事でしょう。