Z系を整備していると、度々遭遇するカムホルダー部ネジ山の破損。
特に熱的に素材痛みが激しく、カムの回転方向とタペットの角度位置関係でテコの原理がカムホルダーを強く開く方向に働くエキゾーストのしかもエンジン前方側から壊れていく場合が多いです。
整備される場合は少なくとも全てのボルトが同じ様に脱着されているわけですから、基本的に一か所だけ痛むという事は殆ど無く、経験上連鎖的に修理が必要になります。
この車両は入庫してのタペット調整中のトルクチェックで一か所だけの破損が確認され、お客様と相談の上費用と時間の関係で破損した場所のみの修理でとの話になったのですが、一か所をヘリサートを使用してカムホルダーを装着して締めたところ、同じホルダーの2か所も規定トルクに達する前にボルトが空転、残りの一本も明らかに怪しい感触のフィードバックが工具を通して感じられた為に結局4か所全部にヘリサート修理を施す事になりました。
以前にも書いたのですが、トルクレンチでの数字が立ち上がった=締結出来ているというわけでは無く、ただ単に崩壊直前なまでに変形したネジ山の為に動きが渋くなったボルトの反力をトルクがかかったと勘違いされている場合が多々あります。
http://blogs.yahoo.co.jp/pams_jp/61184574.html
走行中に完全にネジ山が壊れてカムホルダーが浮いたりすると、ヘッドが完全に破壊される様な事態の原因にもなりますので、1か所が駄目で他の場所もネジ山に入れたボルトが指先で軽く回せない様なら、既にそこも壊れていると判断して事前に対処したほうが無難です。