これは現在作業中のものではなく、PCの写真整理の際に出て来た10数年前に製作したZ2系エンジンの為に加工したシリンダーヘッドです。
ストローク58mmのZ2のボアアップチューニングと言えば、69mmから73mm位迄がノーマルシリンダーヘッドを使用する場合には多く、実際現在弊社でラインナップしているZ2用ピストンとしては最大73mmとしています。
ただ、シリンダーヘッド側にスキッシュ加工を施し、燃焼室形状を変更する事を前提とするのであれば、更に大きなピストンを使用してのハイチューニング化が可能です。
特に後期のZ750D1や750FXのシリンダーはそれ以前のものに比較してブロック厚に余裕がある為、ライナー交換で76mm迄のピストンが使用出来、その場合の排気量は1,052ccと、ZZR1100と同じ排気量とボアストロークとなります。
この場合使用するピストンはZ1系のものではなくピンハイトが同じZ1000J用。
元々Z1やZ2系の燃焼室はJ系のものより小型の為、J系用に作られたハイコンプピストンを使用する場合は外周部分をピストン側に合わせて加工し、バルブもJ系以上のものを使用して若干奥側に追い込みます。これによってリフト量11mmクラスのカムシャフトを使用出来る様にします。
又、ストロークはJ系に比較しショートにはなりますが、燃焼室の大きさの関係でかなりのハイコンプになります為、ボアの大きさと相まってのツインプラグ化も非常に有効です。
10数年前に比較して、現在は弊社からもZ1000J系76mmピストンのラインナップがあります。
元々ハイチューン目的用として設定した事もあり、圧縮比設定はZ1000Jに組んだ場合12.0:1と、かなりの盛り上がりを持つピストンヘッド形状となっています。
Z系ショートストローク、高回転仕様エンジン。
Z2のノーマルヘッド用に製作したピストンを組み込みするのに比較して、シリンダーヘッド側に大幅な加工や測定の繰り返しが必要にはなりますが、状態の良いZ2系58mmストローククランクシャフトがあれば、間もなく仕上がるZ1000J系用38㎜ビッグバルブも使えるかと思いますので、久しぶりにでも製作してみたいものです。
当時に組んだ物でもかなり乗って楽しいエンジンでした。現代の更に強靭で軽量なピストンを使用出来れば、さぞ高回転域に楽しい回り方をするのではと想像します。