今回の車輌はかなりオリジナル度の高いZ2。お約束といえばお約束のトラブルだが、入庫した際にはノーマルレギュレーター不調によるバッテリ−過充電によりバッテリ−自体もダメージを受けセルモーターによる始動が不可能な状態だった。オーナーとお話したところこの際に他の電装系も一新し安心して乗っていきたいとの意向からレギュレーター&バッテリ−を始めメインハーネス、点火系を含む電装パッケージ3の取り付け作業をさせてもらった。
●かなりオリジナル度の高いZ2。大切にされてきたのが分かる。 ●電装パッケージ3の取り付けにあたり外装類を取り外す。
●メインハーネス自体も経年劣化によりかなり痛んでいたが、その他の配線類なども皮膜が破れ銅線が露出している部分などが数カ所に渡り見受けられた。配線劣化などによっておこるショートもヒューズを一系統しか持たないZ2ではトラブルシュートも容易ではない。 ●ヘッドランプバルブに接続されるカプラーも御覧のように溶けて変型してしまっている。
●取り外されたジャンクションパネル。センタ−ハーネス交換と同時に、ICレギュレーター使用によって不必要になったレクチファイア−も取り外す。このレクチファイア−が不調に陥るとダイナモで発電された交流電流を直流に整流する事が出来ず過充電とは逆に充電そのものが出来なくなってしまう。 ●テール球切れ警告リレーや速度警告灯駆動リレーなども当時のまま残されている。
●ディマ−スイッチへ向かうハーネス、ここでも皮膜が破れ銅線が露出している。今回、ディマ−スイッチ交換は行わないため痛んだ配線は修復する事に。 ●専用の金具でカシメて・・・
●コード専用の収縮チューブで保護します。 ●ターンシグナルから伸びるコードも劣化している。
●30年間働き続け今回取り外されたメインハーネス。皮膜が破けている箇所があっただけではなく、ハーネス自体が全体的にしなやかさを失い硬化している。また過充電によってカプラー類などにも変型が見られた。 ●純正のポイント式から・・・
●純正の遠心ガバナーから・・・ ●遠心ガバナーが取り外され電子進角用マグネットローターが取り付けられる。
●DYNA2000用ピックアップセンサー。煩わしいポイント調整や遠心ガバナー不調による進角不良などの不安から解放される。 ●DYNA2000イグナイターユニット。適正な進角パターンの選択だけではなく、レブリミッタ−内臓で万が一の時でもエンジンを保護する機能も搭載している。もちろん強力なスパークを支える頼もしい存在である事はいうまでもない。
●PAMSヘッドランプブースターを装着する。ヘッドライトが明るくなるのはもちろんの事、ヘッドライトバルブに向かう大電流がディマ−スイッチなどを流れる事なく専用ハーネス&リレーにて直接パルブに到達するため、ディマ−スイッチを始めハーネス類を保護する役割も勤める。また同じような理由からキルスイッチを還しIGコイルへ供給される電源も安定し点火スパークのサポートにも一躍かっている。 ●新しいハーネスを装着していく。見えないところに大きな安心・・・
●ICレギュレーターが装着され、新しいセンタ−ハーネスを組み込み後、元の位置に戻されたジャンクションパネル。ヒューズBOXもブレードタイプへ交換した。 ●外装を装着し完成!!
今回の電装パッケージ3装着では、外観に一切の変化はないが実際にこのZ2に跨がり乗り続けていくオーナーにとっては大きな安心を手に入れられたと思う。電装系のトラブルは目で確認しずらい事も手伝って何の予兆もなくある日突然起こる事が多い。普段見過ごしがちな場所ではあるが特に旧いZではもっとも気にしたい場所の一つだと思う。ハーネス、レギュレーター交換などによる信頼性向上の他にもDYNA2000使用によるパフォーマンスの向上及びメンテナンスフリーまで手に入れた今回のZ2、思う存分乗り込んで欲しい。