今まで幾度となく修理やカスタムはしてきたがなんか調子が悪いと来店されたMKII。聞くと過去に2度ほどエンジンはオーバーホール兼カスタムをしているという。の割にはノイズも出ているしカムチェーンのテンションも張れないと言ったやれた感じだったのでシム調や電装廻り等チェックしていったところやはりアイドラーが外れているのが上から覗いて確認出来た。更に上からだとスリッパーが付いていないように見えたのでこれはカムチェーン廻りが完全におかしいと腰上をはぐる事になった。オーナー曰く既に○○○万円はかけて色々手を入れてきたらしい。しかし、きっちりやっていあるものは数年でこれは度の状態にはなかなかならない。今回腰上をきっちりオーバーホールし、これでファイナルアンサーにしようと言うことで作業にかかった。 |
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●カムカバーを外しエンジン内をチェック、ハイカムにインナーシムといったチューニングが施されている。 | ●カムメタルが横にずれてしまっている。カムホルダーのトルクが抜けていたことにも原因はあるがカムメタルもだいぶ消耗していた。危機一髪!! |
●カムホルダーを取り外したところ。カムメタルがずれているのが分かりやすい。 | ●取り外したアイドラー類全てが異常なまでに消耗?破壊?されている。スリッパーなんて形がすでにない |
●アイドラー類があれではカムチェーンの軌道がとれない為シリンダーなどを削りながら回っていた事が分かる跡、カムチェーンが正常に張れる訳がない...。カムチェーンに削り取られた跡が分かるだろうか? | |
●むりやりカムチェーンを張っていたせいか見事に削れているローラー。チェーンが脱線しているとか言うレベルではない | ●右のスリーブと比べて見て欲しい、シリンダーとスリーブの間に隙間がある |
●カムチェーンスリッパーの付け根をホールドする溝。スリッパーが折れているにも関わらずそのまま乗り続けたため付け根のみとなったスリッパーの一部がカムチェーンに叩かれ続け樹脂部分が剥離、そして金属同士が絶えず衝突しあい、シリンダー側にダメージを与えた。ここを直す為にかかってくるコスト(成型、スリーブ抜き、面研等)を考えたら交換した方が安価な為シリンダー交換となった | ●クランクケースとシリンダーの間に入るローラー。これがここまで変形しているのは驚きだ |
●バルブスプリング、INとOUTのスプリングが固着してしまっている。全てではないがアメリカ製のパーツなどでよく起こる現象。当然フリクションロスが増大する。 | ●今回交換するバルブやバルブスプリング。 |
●ハイカムを使用の為カムノーズの逃げ加工が施してあったが逃げ切れてなくあたっていたところもあった。シリンダーヘッドはバルブガイドを打ち直し、バルブシートカット摺り合わせ、バリ取りといった。PAMSでは基本的なオーバーホール。 | |
●既に73mmのピストンが入っていたため、ピストンはキャリーオーバーし、リングを交換する。 | |
●ヘッドを乗せ、カムを組み付けたところ、カムホルダーのネジ穴は全てヘリサート加工済み。シム調整をした後に圧縮等のデーターをとり、カムカバーを閉める | |
●火を入れセッティング。車体が活き活きしている。 | |
●ふとキャリパーに目をやるとパットがこんな状態、ここは問答無用で交換。命に関わるところなので気にかけよう。 | |
●レギュレータのカプラーが溶けて溶着し抜けない状態。強引に抜き電装系もリフレッシュした。 | |
●腰上オーバーホール、電装系リフレッシュ、セッティングを終えオーナーに試乗してもらった。印象的だったのが、オーナーがバイクに跨り走り出した瞬間に(お〜〜〜!!)と叫びながら発進していったことだ。試乗後、無事店に帰還し感想を聞いたところ、(今までの自分のバイクは何だったんだ???)と興奮した口調で言っていた。あまりにも調子の悪い状態で長期間乗り続けていた為、本調子のMKIIを忘れてしまっていたのだろう。これからは本来のZらしさを存分に味わってもらいたいと心から思った。 |